主観的評価で必要な情報は以下になります。

  • 診断・投薬
  • 主訴
  • 症状の傾向
  • 現病歴・治療歴
  • 活動・参加
  • 心理社会的要因
  • 仕事・生活習慣
  • 健康状態・既往歴
  • ゴール・期待

  

整形外科クリニックで働く理学療法士の場合、事前情報の1つとして医師の診療録(指示も含む)がありますが、患者に会う前に、事前に医師の臨床推論が確認できます。

 

「診断・投薬」では、レッドフラッグ、診断名、検査内容、投薬と効果について情報を収集します。 

 

レッドフラッグ

レッドフラッグ(危険信号)とは、重篤な疾患の可能性を示す徴候と症状のことをいいます。例えば、腰痛のレッドフラッグとして、発症年齢、癌やステロイド治療の既往、体重減少、発熱などがあります(ガイドラインに掲載)。

 

日本では、医師が先にレッドフラッグを除外してくれるので、理学療法士がレッドフラッグをあまり考えていない(場合によっては知らない)ことがあります。

 

しかしながら、理学療法士の開業権のある国では、ガイドライン・文献・書籍には当たり前のように、最初にレッドフラッグスを除外しましょう、と記載されています。

 

日本で医師と働く理学療法士も、理学療法士が初回評価でレッドフラッグをダブルチェック&除外する必要があります。なぜなら 診察をすり抜ける可能性があるからです。また、リハビリ実施期間中に出現することもあります。

 

別症状の出現、改善しない場合は、レッドフラッグを再度確認です。医師が初回診察しかしない整形外科クリニック(本当は違法)で働いている理学療法士は、なおさら気をつけなくてはいけませんね。

  

レッドフラッグの見逃しについては、医師のレベルややる気によって発生頻度が変わる可能性があります。私はクリニックでさまざまな医師と働いてきましたが、ダメな医師ほどレッドフラッグの見逃しが起こります。

 

診断

整形外科クリニックでは、医師の診断が前提にあります。つまり、「診断名」が先にあります。

 

「診断名」が特異的疾患の場合、疾患に応じたマネジメントを実施します。また、保存療法(リハビリ)で改善を示さない場合は手術の可能性も検討する必要があります。

 

例えば、胸腰椎の圧迫骨折による腰痛の場合、コルセットを着用して一定期間、固定する必要があります。腰椎椎間板ヘルニアの場合、疼痛回避姿勢や動作の指導、症状が重篤な場合は手術を検討します。一方、非特異的疾患の腰痛の場合、コルセットによる固定や疼痛回避姿勢や動作の指導よりも、痛みのない範囲で日常生活を継続が基本方針となります。手術療法を検討することもないでしょう。

 

整形外科クリニックでは、必ず診断名がついています。では、全員が特異的な疾患なのでしょうか?

 

答えは、NO、です。

 

特異的疾患といえるのは、適切な検査結果の基に診断された特定の疾患(例:RA)や、明確な組織損傷による疾患(例:外傷、靭帯損傷、骨折など)などです。

 

世の中には適切な検査をしない医師がいます。理学療法士は「医師によって適切な検査を行っていたかどうか」を事前に確認する必要があります。適切な検査が行われずに診断された診断名の場合、患者の疾患・病態を表していないため、理学療法士にバイアスをかけ、ミスリードする可能性があります。

 

診療録の内容が不足している、検査内容が画像所見だけ、患者からも「あの先生は触ることさえしないよね」といった場合、適切な検査を行わずに下した診断として考える必要があるでしょう。  

 

余談ですが、注射の検査・治療をしない整形外科医もいるそうです。血液検査も行うことがないので、重篤な疾患を見逃す可能性が高くなります。注射をしない医師と働いている理学療法士は、ステロイド注射や血液検査が必要と判断したら別クリニックの受診を推奨しているそうでう。そこで、関節リウマチなどが判明したら、治療方針は大きく変わりますよね。。

 

投薬と効果

整形外科医は、痛みのタイプ、ステージ、健康状態などを考慮して、投薬を決定しています。 例えば、神経障害性疼痛であれば、リリカやタリージェなどが処方されます。 投薬内容を知ることで医師が考えた痛みのタイプが推測できます。

 

整形外科クリニックで働く理学療法士は、医師と連携して患者の投薬を管理します。投薬の変更後や薬の増量や減量後は、理学療法士も効果や副作用などを確認します。

 

侵害受容性疼痛が神経障害性疼痛に変化した場合は、投薬内容の変更を検討します。例えば、腰部のみに限局した疼痛を訴えていた患者が下肢症状(痛みや痺れ)などが出現した場合です。

  

なお、投薬の方針については医師によって多少、変わりますので、一緒に働いている医師の特徴・方針を確認しておくといいと思います。

  

まとめ

今回は、「診断・投薬」について解説しました。

 

診療録は医師によって本当に違います。しっかり、身体評価の内容を書いている医師もいれば、画像所見のみの診療録もあります。整形外科徒手検査法を1つも書いていない医師、この世にはいます。

 

適切な検査を行わない医師と働いている場合、理学療法士がしっかり検査することになるので知識・技術が上がると私は思います。

  

初回評価用紙

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