
フリーランスのセラピストで働く場合、給与設定はどうしてますか?と聞かれることがとても多いです。
同じ職場のセラピストには給与は言わない、というのが鉄則ですが、
ズバリ言います。
個人事業主でフリーランスのセラピストなら給与収入の1.5倍以上が必要です。
例えば、給与収入(年収)が500万なら750万、600万なら900万、700万なら1,050万です。
個人事業主の場合は事業収入になりますが、雇用契約と同じ金額設定だと、生活が成り立ちません(実体験)。
他の業界でもフリーランスの場合は、給与収入の1.5倍以上が必要といわれますが、セラピストも同様です。
契約にもよりますが、例えば、クリニックと業務委託契約をした場合、基本的に、残業代、社会保険(健康保険・厚生年金・介護保険・雇用・労災)、有給休暇、交通費、福利厚生費(セミナー費用補助)、退職金などはありません。そのため、フリーのセラピストは、自分で保険に入る、自分で退職金を用意する(例:小規模共済など)必要があります。
なので、独立して、給与収入と同じ設定で契約してしまうと、後が大変になります。フリーランスは給与収入よりも高い金額で仕事を受ける、その基準が、1.5倍以上ということになります。
また、働き方にもよりますが、時間を売る仕事をしているフリーランスは、「休み=収入なし」です。
会社員の場合、社会保険、有給休暇があり、確定申告も基本する必要がありません。一方で、個人事業になると、厚生年金が国民年金になる、労災・雇用保険もないため、将来の貯蓄についてもより考える必要があります。
フリーのセラピストなら時給3,750円が必要?
給与収入が500万のセラピストが独立する場合、目標とする事業収入を750万に設定します。年間50週として週5日勤務の場合、日給は3万円以上、時給で言うと3,750円以上が必要になります。
給与収入が600万のセラピストが独立する場合、目標とする事業収入を900万に設定します。年間50週として週5日勤務の場合、日給は3.6万円以上、時給で言うと4,500円以上が必要になります。
給与収入が700万のセラピストが独立する場合、目標とする事業収入を1050万に設定します。年間50週として週5日勤務の場合、日給は4.2万円以上、時給で言うと5,250円以上が必要になります。
ここで、整形外科クリニック(運動器I)の理学療法士の売上を考えてみたいと思います。
1時間あたり2人の患者を担当したとすると、185点×3単位、再診料73×2 、合計は699点になります。約7,000円です。 7,000円のうち、セラピスト報酬を50%にすると約3,500円、60%にすると約4200円、70%にすると約4900円になります。
また、運動器リハビリテーション料以外にも、リハビリテーション総合計画料 300点(3,000円)などがあります。クリニックによっては計画書ごとにインセンティブを設定しているところありますよね。例えば、1ヶ月当たり60名担当していたら、180,000円の売上が追加されます。月180,000円、1日1万円、8時間で割ると、1時間あたり1,250円、先ほどの7,000円に1,250円を足すと8,250円です。50%だと4,125円、70%だと5,775円です。また、自賠責などでは単価が変わります。なので、時給3,750円でいうの契約は可能なんですよね。
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ちなみに、平均的なセラピスト1人当たりの売り上げは「185点、1日20単位 、18日勤務」で 666,000円、そこに計画料 180,000円 を足すと、846,000円となります。
東京の整形外科クリニックは時給2,000円、安い!?
さて、フリーランスのセラピストに必要な事業収入について述べました。
給与収入が500万のセラピストが業務委託契約して働くなら時給にすると3,750円が必要です。・・・しかし、残念ながら時給3,750円で募集している整形外科クリニックはありません。看護師の場合、日給3万円(時給3,750円)という求人はありますが、理学療法士はありません。
東京の整形外科クリニックの場合、非常勤(パート)の理学療法士の時給2,000円〜に設定にしているところが多いです。個人事業主でフリーランスの理学療法士として働いている場合、時給2,000円・・・生活面で考えると成り立ちません。給与所得を得ていて副業として働く場合は、時給2,000円台でもいいのかなと思いますが、副業に求めるのが給与だけなら、訪問に行く方が多い印象です。PT.OT.STネットで時給3,000円以上で検索すると、該当するのは「訪問看護ステーション」または「訪問リハ」です。
給与ではなく、その整形外科クリニックで得るものがある、学ぶものがある、人脈が広がる、といった付加価値がある場合は、時給は関係なく、働く価値があると思います。
フリーランスのセラピストとしてクリニックと契約
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フリーランスのセラピストとして整形外科クリニックと契約するなら、どういった契約がいいのでしょうか。
完全歩合制(=患者のキャンセルがあれば収入0円)? または、賃金保証ありの契約? 日給? 日給プラス歩合制?
歩合制というのは日本の理学療法士の業界ではまだ一般的ではないと思います(給与とは別に自費の売上を歩合として50〜75%にしているところはあります)。
10年以上前にカナダとオーストラリアの理学療法士が、何パーセントで契約しているの?55%?という話をしていました。カナダ・オーストラリアの全てが歩合制の契約をしているかはわかりませんが、歩合制の契約をしているんだなぁと思いました。
私はパーソナルトレーナーとしてジムで働いていたこともあるのですが、完全歩合制でした。当時は70%契約で、1時間6000円として4200円の売り上げでした。ただし、完全歩合制なので、顧客がいない場合は収入ゼロというリスクがありました。
そういった経験もしているので、日給プラス歩合制の契約を選びました。
歩合制にするなら報酬が何%になるかはセラピストによって変わると思います。臨床力はもちろん、集客力、指導力、マネジメント力など、トータルでクリニックにどのくらい貢献できるのかによって大きく変わると思います。
そして、クリニックと良い契約をするためには、フリーランスに理解(知識)のある医師との出会い が大切です。
追記:フリーランスをやめて、整形外科クリニックと雇用契約、つまり、会社員として働くことにしました。続きが気になる方は、ぜひお読みください。
フリーランスの理学療法士・開業PTの10年間を振り返る
最近、開業する理学療法士、開業PTが増えてきました。 ㅤ 僕も今から10年前の31歳の時に個人事業主になりました。 ㅤ ただし、お店を構えるわけではなく、約10年間、フリーランスの理学療法士としてクリニックと契約して働い […]