他動副運動テストは分節の評価、疼痛誘発テスト、治療手技として用いられます。わかりやすくいうと、棘突起や椎間関節を押して抵抗感、疼痛などを確認するテストです。オーストラリアではPAIVMとも呼ばれ、オーストラリアのPT間では共通言語とのことです(そこら辺にいるオーストラリアのPTに聞いてみないとわかりませんが・・)。

他動副運動テストですが、後方から前方へ押す場合、PA(posterior anterior pressure)と呼ぶこともあります。母指、母指球、中手骨底を用いて、関節を押して抵抗感、疼痛の有無を判断します。疼痛誘発は1つ以上の分節のこともあるため、比較が大切です。ちなみに、昔の教科書には豆状骨と書かれていますが、豆状骨で押すのはセラピストの手を痛めるということで中手骨底が推奨されます。豆状骨で押すのは痛い、です。

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オーストラリアの有名な理学療法士の1人、メイトランドのメソッドではPAを評価・治療として用いています。10年以上前の話ですが、オーストラリアのシドニー大学院で学ばれた理学療法士の小形先生が日本で徒手療法のコース(メイトランド)を開催していました(* 現在はしていません)。私自身も講習会に参加し、クリニカルリーズニングの奥深さを知り、多くのことを学ばせて頂きました。昔は治療しながら問診をするセラピストがとても多かったのですが、主観的評価と客観的評価を系統的に行い、クリニカルリーズニングを実践する過程を学んだことは臨床の礎となりました。

 

さて、メイトランドですが、オーストラリアでは主流なのかなと思っていましたが、実際に留学してみると、オーストラリアの理学療法士でも指を痛めるからという理由でメイトランドを批判している人がいることを知りました。私はというと、メイトランドの手技で行っているのは、PAのみです。母指を用いたPAは主に頸椎の評価として、中手骨底を用いたPAは主に治療として胸椎・腰椎に用いています。前方から後方に押すAPという手技もありましたが、頸椎においては血管・神経を押すリスクが高いこと、疼痛を誘発するため実施しなくなりました。

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PAですが、メソッドによっては実施しないこともあります。”確定”の目期で実施するよりも、”除外”の目的で用いています。他動生理的運動テストをした時に、「うーん、制限はなさそうだ、関節押しても問題ないかな、PAしてみよう」という感じです。棘突起を押す正中PA(central PA)、椎間関節を押す片側PA(unilateral PA)、水平に棘突起を押す Transverse PA などがあり、いずれも、抵抗感、症状、疼痛の程度を評価します。

  1. 患者は腹臥位にて、セラピストは両母指の背側を合わせる。
  2. 棘突起の外側に母指先端を起き、後方から前方へ押す。
  3. 抵抗感、症状、疼痛の程度を評価する。局所の組織の圧痛は症状の原因と関連がある。疼痛誘発の分節が複数ある場合は、左右・上下で比較する。
  • 中間位で疼痛誘発されない場合、疼痛誘発肢位(または複合運動の疼痛増悪肢位)で行う。

PAで気をつけたいのは、押す場所はもちろんのこと、軟部組織の疼痛と間違えないことです。関節を押すまでに、皮膚、皮下組織、筋肉といった軟部組織があります。他動副運動テストをする前に、軟部組織を評価することが大切です。

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