他動にて、頸椎の分節ごとの椎間関節の動きを評価します。分節の動きが低い場合を低可動性(Hypo-mobility)、過度な場合を過可動性(Hyper-mobility)といいます。疼痛誘発テストではありません。
(オーストラリアではPassive Physiological InterVertebral Movements(PPIVM)と呼んでいるそうです)

評価方法ははさまざまです。座位もあれば、背臥位もあります。触って感じとる方法もあれば、押して動き&抵抗感を確認する方法もあります。脊椎徒手療法コースでは、下位頸椎に対して「下方滑り」「上方滑り」「第1肋骨の下内方滑り」の3つの評価方法を紹介しています。

頸椎の他動生理的運動テストの下方滑りについて説明したいと思います。

他動生理的運動テストの流れ

まず、分節の評価の前に、他動で頸椎の可動域を確認します。他動運動としての評価です。同側の関節の制限がある場合、途中でカチッと止まったり、疼痛が誘発されることもあります。反対側の肩甲帯が引っ張られてくるようであれば軟部組織の要因を考えます。自動運動で制限・痛みがあるのにもかかわらず、他動運動では制限・痛みがない場合は、関節よりも運動制御の問題のことが多いです。

自動運動テスト、複合運動テスト、疼痛軽減テストを通じて、制限のある動きや部位はある程度、推測ができています。

例えば、右側屈・右回旋にて右頚部に疼痛がある場合、右の椎間関節の下方滑りの低下があり、かつ、疼痛軽減テストにて関節に対して「滑り」の力を加えて痛みの消失がある場合は、右頚部の下方滑りの低下を疑います。

下方滑り

  1. 患者は背臥位にて、セラピストは患者の頭側に位置する。*座って行う場合、肘が屈曲位となり頭部の操作が難しくなることに留意
  2. 一方の示指・中指を棘突起のやや外側、数mm下方(椎間関節)に置く。
    例)C3棘突起 → C3/4
  3. 一方の手で側頭部を保持し側屈を起こし、もう一方の示指・中指で、厚くなる組織 thickening of the tissue を感じる。上位の椎骨が下位の椎骨に向かって尾方に移動するのが感じられるだろう。

下方滑りは、椎間関節に示指・中指を置き、側屈させながら関節の組織が厚くなることを指先で感じ取ります。制限がある場合は組織の動きを感じ取れないです。

この指先で感じとる方法は、正直難しく、わかりづらいこともあるので、私は、治療手技と合わせて評価するようにしています。

下方滑り

  1. 患者は背臥位にて、セラピストは患者の頭側に位置する。*座って行う場合、肘が屈曲位となり頭部の操作が難しくなることに留意
  2. 椎間関節の上位レベルの関節柱に一方の手の示指MP関節付近を当てる。
  3. 反対側の肩に向かって下方滑りの力を加え、可動域&抵抗感を確認する。

関節を押して動き&抵抗感を確認する方法は、組織を感じとるよりわかりやすいです。メソッドによっては、側方に動かす「側方滑り」という方法もあります。側方滑りの評価は末梢神経の滑走性を評価する時に用いられることもあります。

組織の動きと可動域&抵抗感の2つで判断することでダブルチェックになると思います。

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