座位・立位姿勢を評価し、頚椎の自動運動テストを行い、疼痛誘発されたら疼痛軽減テストを実施します。鑑別疾患のために整形外科テストを、神経障害があるなら神経学的テストを実施します。神経障害がある場合は検査が増える(=時間がかかる)ことに留意し、タイムマネジメントをする必要があります。

客観的評価(身体評価)のフローチャートの最後の4つは、軟部組織の評価、運動制御の評価、関節機能の評価(他動生理的運動テスト・他動副運動テスト)です。

軟部組織の評価はさまざまな場面で行われます。例えば、姿勢評価において僧帽筋上部を触診することで、肩甲骨の位置との関連、自動運動テストで制限がある方向などを推測できます。動作分析においては、筋を触診することで適切なタイミンングで筋が収縮しているかどうかを評価できます。

頚部の軟部組織の評価は、背臥位では胸鎖乳突筋、斜角筋群、腹臥位では、僧帽筋上部、頭板状筋、頭半棘筋、肩甲挙筋、上後鋸筋、 菱形筋、などを触診します。

胸鎖乳突筋、斜角筋群、僧帽筋丈夫の触診方法について紹介したいと思います。

胸鎖乳突筋

[触診手順]

  1. 患者は背臥位にて頭頸部を反対側に回旋させる。触診手を胸鎖関節のすぐ上部に置く。
  2. 乳様突起から胸骨柄および鎖骨に向かう胸鎖乳突筋を触診する(頭頚部を持ち上げると筋が明瞭になる)。 SCMの胸骨頭は鎖骨頭よりよく見える

[注意]

  • 胸鎖乳突筋胸骨頭の内側に総頸動脈が位置、頸動脈洞の圧迫は血圧降下の反射を引き起こすので十分注意(左右の総頚動脈を同時に圧迫することは禁忌)

[作用]

  • 頭部・上位頚椎の伸展
  • 頚椎の屈曲・同側側屈・反対側回旋
  • 胸骨・鎖骨の挙上

[付着部]

  • 起始:胸骨柄・鎖骨内側1/3
  • 停止:乳様突起・後頭骨上項線外側

斜角筋群

[触診手順]

  1. 患者は背臥位にて、触診手を胸鎖乳突筋の鎖骨頭の外縁の外側に置く。
    SCM鎖骨頭の外側に前斜角筋が位置し、その後方に中斜角筋が位置する。
  2. 後頸三角(SCM、僧帽筋上部、肩甲挙筋、鎖骨の間)にある斜角筋群を触診し、強制吸気または短く早い鼻呼吸を指示し、斜角筋群の収縮を触知する。鎖骨後部の第1・2肋骨の斜角筋群の触診は、頚椎を他動的に同側側屈させ斜角筋をゆるませ、鎖骨後部のスペースを作り鎖骨後部で触診する。

[注意]

  • 前斜角筋と中斜角筋の間にある腕神経叢と鎖骨下動脈の圧迫に注意する。

[作用]

  • 頚椎の屈曲・同側側屈
  • 第1・2肋骨の挙上

[付着部]

  • 前斜角筋:第1肋骨 - C3-6横突起
  • 中斜角筋:第1肋骨 - C2-7横突起
  • 後斜角筋:第2肋骨 - C5-7横突起

僧帽筋上部

[触診手順]

  1. 患者は腹臥位にて、触診手を肩の最上部の僧帽筋上部に置く。
  2. 顔の位置から頭を持ち上げる(頚部伸展)、または、反対側回旋位で頭頚部伸展させ僧帽筋上部を作用させ収縮を目で確認し、後頭骨・肩甲骨・鎖骨に向かって触診する。

[作用]

  • 肩甲骨の挙上・内転・上方回旋
  • 頭頸部の伸展・側屈・反対側回旋

[付着部]

  • 起始:後頭骨の外後頭隆起・上頂線の内側1/3、項靭帯、C7棘突起
  • 停止:鎖骨外側と肩峰突起

触診の書籍

触診の書籍はいくつか出版されており、紹介されている部位・方法は異なります。書籍を見比べてみて、自分に合った方法を見つけるといいのではないでしょうか。

運動療法のための機能解剖学的触診技術:下肢・体幹

頚部に関連する骨の触診として、乳様突起、外後頭隆起、環椎横突起、頸椎棘突起が紹介されています。筋・神経の触診として、胸鎖乳突筋、前斜角筋、中斜角筋、腕神経叢、が紹介されています。

運動療法のための機能解剖学的触診技術:上肢

頚部に関連する筋触診として、僧帽筋、菱形筋、肩甲挙筋、が紹介されています。

筋骨格系の触診マニュアル

頚部に関連する骨の触診として、乳様突起、後頭骨、舌骨、甲状軟骨、第一輪状軟骨、C6頸動脈結節、横突起、棘突起、椎間関節、が紹介されています。筋の触診として、胸鎖乳突筋、斜角筋群、肩甲舌骨筋下腹、頸長筋と頭長筋、前頭直筋と外側頭直筋、舌骨筋群、僧帽筋上部、肩甲挙筋、頭板状筋、頸板状筋、頭半棘筋、後頭下筋群、が紹介されています。

骨格筋の形と触察法

頚部に関連する筋の触診として、僧帽筋、肩甲挙筋、菱形筋、頭板状筋、後頭下筋群、斜角筋群、などが紹介されています。

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