理学療法士が行う評価は主観的評価(問診)と客観的評価 (身体評価)に大別されます。

主観的評価(問診)にて情報を収集し、Red flags を除外、疼痛タイプの推測、疾患・病態を想起、過敏性を判断、そして、客観的評価(身体評価)の計画、を行います。

主観的評価(問診)を終えた後に、想起される疾患・病態を基に客観的評価の項目・順番を決定します。

客観的評価(身体評価)

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このフローチャートは頸椎に限らず、腰椎、四肢でも用いることが可能です。客観的評価(身体評価)の内容は、姿勢、自動運動テスト、動作分析、複合運動テスト、疼痛軽減テスト、整形外科テスト、他動生理的運動テスト、他動副運動テスト、軟部組織の評価、運動制御の評価、で構成されています。客観的評価で行う内容は患者・状況によって臨機応変に調整します。全ての検査を行う必要はありません。

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姿勢評価

客観的評価で最初に行われる評価は、姿勢評価です。

姿勢評価は疾患・病態や特定の部位に拘らずに全体を捉えることが重要です。そして、全体を捉えつつ各部位のアライメントを評価します。私は、姿勢評価にあたって、疼痛回避姿勢、軟部組織、ケンダルの姿勢分類、構造的脚長差、座位姿勢の修正などを考えながら、姿勢を評価するようにしています。

 

頚部痛の場合、座位姿勢の評価がまず行われます。立位姿勢の評価と同じく、後面、側面、前面から行います。

 

基本的に着衣は少ない状態が望ましいです。頚部の場合は、タートルネックは別として比較的観察しやすいのですが、ネックレスなどをしている場合は今後の評価も含めて先に外してもらうといいでしょう。

 

側面からの評価は、主観的評価の段階である程度可能です。胸椎・腰椎後弯、骨盤後傾の姿勢(Slouched sitting)、Forward Head Posture(FHP)を評価します。頭部の位置は、肩を基準に頭部の重心(耳の前上方あたり)がどこに位置しているか把握します。頭部前方位姿勢(FHP:Forward head posture)の場合、上位頸椎が伸展位、下位頸椎・上位胸椎が屈曲位、第1肋骨は挙上した傾向になり、上位頚椎の屈曲、下位頸椎の伸展、第1肋骨の下制の制限が起こる傾向になります。傾向です、なっているかどうかは確認する必要があります。

 

後面からの評価では、肩甲骨・腸骨稜・肋骨-骨盤間距離・脊椎の弯曲などを触診し、骨ランドーマークを指標に対称性・非対称性、側弯を評価します。

 

前面からの評価では、頭部の傾斜、上肢アライメントを評価します。

 

軟部組織については、皮膚のシワを確認します。中位頸椎にシワが形成されている場合、中位頸椎でヒンジなるような動作が習慣化されていることが疑われます。また、頸部と肩甲帯にある筋、代表的なものとして僧帽筋上部などを触診し、筋の緊張を評価します。

 

疼痛回避姿勢については、神経障害の場合、頸椎を側屈、肩甲骨を挙上させることで末梢神経に牽引ストレスが生じないような姿勢をとっていることがあります。

 

姿勢というと立位姿勢や座位姿勢などがまず考えられますが、日常生活における姿勢、仕事・家事・育児などの作業における姿勢は個々によって異ななります。特定の姿勢をしている時に疼痛が誘発される場合は、主観的評価(問診)にて作業環境と作業姿勢、また、誘発までの時間などについて情報を収集し、身体評価では再現した状態で評価するようにしたいです。例えば、デスクワークで頚部痛が誘発される場合、使用しているパソコン、デスク、椅子、プリンターなどの配置を確認し、パソコン作業を模倣してもらい座位姿勢を評価します。そして、座位姿勢の評価後は、座位姿勢の修正について評価します。

座位姿勢の修正

デスクワーク中に頚部痛・腰痛を訴える患者に対しては、患者自身の座位姿勢に対する認識を評価します。

 

胸腰椎後弯・骨盤後傾位の座位姿勢(Slouched sitting)に対して「良い座位姿勢を取れますか?」と指示し、患者自身の姿勢修正方法を評価します。

 

患者によっては修正前に「良い姿勢って何ですか?」と答えることもあります。

 

次に、姿勢修正後「どこを気をつけましたか?」と確認します。骨盤前傾が起こらず胸椎伸展の修正動作の場合、患者は「胸を張りました」と答えることがあります。これらのケースは、姿勢修正方法の認識が誤っていることが示唆されます。

 

姿勢修正の誤認識は知識が備わっていないこともあれば、メディアや医療者によって誤った認識が形成されていることもあります。「まっすぐ座るように」と指導された結果、過度な腰椎伸展により脊柱起立筋群の過緊張を引き起こしていることがあります。

 

マネジメントでは、誤った姿勢修正の知識・認識に対して患者教育を実施する必要がありますね。

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