姿勢は、疼痛、感情、ボディイメージ、身体機能、作業環境などさまざまな要因によって変化します。

良姿勢は正常な関節軸を維持しますが、不良姿勢は、筋の短縮、筋力低下、関節軸の変化、関節に対する力学的ストレスを引き起こし、疼痛や関節変性の原因になると考えられています。

特に、関節可動域の最終域での姿勢保持は、筋活動ではなく関節組織の受動的な支持になるため、関節組織の負担を増大させるので注意が必要です。

姿勢というと立位姿勢や座位姿勢などがまず考えられますが、日常生活における姿勢、仕事・家事・育児などの作業における姿勢は個々によって異なります。

特定の姿勢をしている時に疼痛が誘発される場合は、主観的評価(問診)にて作業環境と作業姿勢、また、誘発までの時間などについて情報を収集し、身体評価では、再現した状態で評価します。

姿勢評価は疾患・病態や特定の部位に拘らずに全体を捉えることが重要です。そして、全体を捉えつつ各部位のアライメントを評価します。

私は、姿勢評価にあたって、疼痛回避姿勢、軟部組織、ケンダルの姿勢分類、構造的脚長差、座位姿勢の修正などを考えながら、姿勢を評価するようにしています。

疼痛回避姿勢


疼痛回避姿勢とは、文字通り、疼痛を回避するための姿勢です。

例えば、足関節靭帯損傷後の患者は荷重時痛を避けるために健側に荷重をかけてた姿勢です。

疼痛が主訴の場合、姿勢評価では疼痛回避姿勢かどうかを判断する必要があります。心理的要因が関連していない場合、重症度が高いほど疼痛回避姿勢をとっていることが多い印象です。代表的なものとして腰部の神経障害(例;椎間板ヘルニア)による側方シフトなどがあります。

疼痛回避姿勢は急性期の場合、損傷組織の治癒の促進のために適切な対応であるため、姿勢を修正することはしません。一方、急性期が過ぎても疼痛回避姿勢をとっている場合、原因を探る必要があります。特に、恐怖心・不安といた心理的要因が関係している場合は、適切な評価の基に疼痛回避姿勢の修正を計画的に行っていきます。

疼痛回避姿勢について述べましたが、疼痛回避動作の評価も重要になります。足関節靭帯損傷後の患者を例にすると、立ち上がりは健側優位、歩行では健側の立脚期を長く患側の立脚期を極力短くし、股関節外旋位での接地にて患部への荷重を減らした疼痛回避歩行の傾向になります。

疼痛回避動作は疼痛回避姿勢と同様に、急性期の場合は許容、是認します。主観的評価で、受傷機転の有無、障害ステージ、心理的要因、過敏性(疼痛の重症度(NRS)、疼痛誘発動作、疼痛の消失時間を参考)を評価した後、視診・触診などで炎症所見の評価、自動運動テストにおける疼痛誘発の程度などを評価し、動作を修正するかどうか判断します。

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