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理学療法士が行う頸椎の客観的評価(身体評価):自動運動テスト

頸部痛の客観的評価(身体評価)では、姿勢評価の次に行うのが自動運動テストまたは動作分析です。

特定の動作において疼痛が誘発される場合は、動作分析をします。なるべく誘発動作を再現して評価することが重要です。例えば、車に乗っているときに疼痛が誘発される場合、運転を模倣した姿勢・動作を行います。上肢が関わる場合は、運動制御の評価において、頚部と肩甲帯の協調性を評価します。

  

頚椎の自動運動テストですが、さまざまなメソッドがあり評価もそれぞれですが、基本的に頚椎の自動運動テストは6つの動作を評価します。

 

屈曲、伸展、側屈、回旋、そして、上位頚椎の屈曲、上位頚椎の伸展です。上位頚椎の屈曲は頷く動作 OR 顎を引く動作、伸展顎を上げる動作 OR 顎を前に突き出す動作、で評価されることが多いです。

 

ちなみに、日本リハビリテーション医学会の関節可動域測定法では、頸部の可動域は屈曲(60°)、伸展(50°)、回旋(60°)、側屈(50°)の4つを紹介しています。角度を計測となると、上位頚椎は難しいかもしれませんね。

 

 

頚椎の自動運動テスト

頚椎の自動運動テストは、口頭指示で評価、または、セラピストが棘突起または頭部をコントロールして評価します。私は後者で習ったこともありましたが、現在は、基本的に口頭指示で評価しています。徒手誘導が悪いとかいうわけではなく、効率を考えて口頭指示による自動運動テストを実施しています。

自動運動テストのポイント

  • 可動域と動きの質(運動パターン)を評価する。
  • 制限動作、疼痛誘発動作、疼痛部位、疼痛誘発のタイミングを評価し、左右どちらの関節か、どの分節か(中位・下位など)を推測する。
     
  • 主観的評価で得た情報から、基本的に疼痛誘発動作と反対の動きから評価する。
  • 必要に応じてオーバプレッシャー(最終域で力を加える)、または、動作を繰り返す。
  • 疼痛が誘発されたら、疼痛軽減テストを同時に実施する。

 

脊椎徒手療法研究所で紹介している頚椎の自動運動テストは、屈曲、伸展、側屈、回旋、上位頚椎の屈曲はリトラクト(後退)、上位頚椎の伸展はプロトラクト(前進)です。また、胸椎および肩の自動運動テストもセットで必ず行います。

 

自動運動テストにて疼痛部位・制限動作・疼痛誘発動作(タイミングも重要)を判断し、症状の原因となっている部位・分節を推測します。例えば、頸椎伸展と右回旋の制限と右頚部痛がある場合、右椎間関節の下方滑り、最終域の疼痛誘発であれば右第1肋骨の下方への制限が疑われます。この段階では推測ですので、この後の疼痛軽減テストや他動生理的運動テスト、他動副運動テストにて評価します。

 

屈曲

  1. 患者は座位・立位にて、セラピストは側方に位置する。
  2. 口頭指示「下を浮いてください。」「顎を胸に近づけてください。」

屈曲は側面から観察します。「下を向いてください」と指示し、最終可動域まで評価したければ「顎を胸につけてください」と指示します。多くの方は顎を胸につけれますが、2横指以内は正常範囲内として考えます。なお、顎を引いてから(上位頚椎屈曲)頸椎の屈曲を行うと、頂靭帯の緊張により屈曲が制限されてしまうので注意が必要です。屈曲位から中間位に戻る動作も同時に評価します。通常、頭部中間位で下位頸椎から動き出しますが、顎を上げる動作が先行する場合は上位頚椎優位の伸展動作になっています。上位頚椎の伸展動作で戻る場合、伸展の表層筋群(頭板状筋や頭半棘筋)が優位になっているかもしれません。

 

伸展

  1. 患者は座位・立位にて、セラピストは側方に位置する。
  2. 口頭指示「上を向いてください。」「天井を見てください。」

伸展は側面から観察します。口頭にて「上を向いてください」「天井を見てください」と指示します。 通常、下位頸椎から動きだし、最終域では頭部の重心が肩よりも後方に位置していることが望ましいです。頭部の中心が肩のラインよりも前やライン上に沿っている場合、上位頸椎が優位な伸展動作になっていることが多いです。疼痛や制限、不安・恐怖によって下位頸椎を動かせない、頸部屈筋群の遠心性収縮による頭部のコントロールができない、などが考えられます。中間位に戻るときに通常は上位頸椎の屈曲から動きだしますが、胸鎖乳突筋による下位頸椎の前方移動、最後に上位頸椎が屈曲する場合は頸部深層屈筋群の筋力低下が示唆されます。また、腰椎伸展時に顎を浮かせることがあり顎を引かせると震えが起きたりする場合も、頚部深層屈筋群の筋力低下を示唆します。

 

側屈

  1. 患者は座位・立位にて、セラピストは後方、または、前方に位置する。
  2. 口頭指示 「頭を右(左)に倒してください」

後方から評価する場合は、頸部のシワ(視診)、筋緊張・筋活動(視診・触診)を確認します。前方から評価する場合は、非生理的側屈・生理的側屈を観察しやすいです。左右の側屈で同部位に疼痛が誘発される場合、疼痛の質を確認します。側屈最終域で疼痛が誘発される場合、第一肋骨を確認します。

 

回旋

  1. 患者は座位・立位にて、セラピストは後方または前方に位置する。
  2. 口頭指示 
    「右(左)を向いてください」

後方から評価する場合は、頸部のシワ(視診)、筋緊張・筋活動(視診・触診)を確認します。回旋時の疼痛・制限がある場合、疼痛誘発のタイミングを考慮し、C1/2 と T1/2回旋(およびC1/2)を評価します。Flextion Rotation Test なども検討します。

 

Retract 後退 

  1. 患者は座位・立位にて、セラピストは後方または前方に位置する。
  2. 口頭指示 「顎を後ろに引いて下さい」「二重顎を作れますか

セラピストが誘導する場合、一方の手を頭部に置き、もう一方の手を前腕回外位にして下顎に置いて、頭部を後方に動かしていきます。Retract の場合、上位頚椎の屈曲(C0/1では左右の後方関節包のストレッチ)と同時に下位頚椎の伸展も起きています。Retract で疼痛が誘発される場合、上位頚椎の屈曲可動域制限によって下位頚椎の伸展に負荷がかかっているのか、下位頚椎の伸展が問題となっているのか判断する必要があります。

 

Prtoract 前進

  1. 患者は座位・立位にて、セラピストは後方または前方に位置する。
  2. 口頭指示 「顎を前につきだして下さい」

セラピストが誘導する場合、一方の手を頭部に置き、もう一方の手を前腕回外位にして下顎に置いて頭部を前方に動かします。Protract の場合、上位頚椎の伸展(C0/1では左右の前方関節包のストレッチ)と同時に下位頚椎の屈曲が起こリマス。頭部前方位の姿勢は上位頚椎が伸展位・下位頚椎が屈曲位となっている。そのため、上位頚椎の屈曲制限・下位頚椎の伸展制限、それに付随して第一肋骨の内下方滑りの制限が起こりやすい。*本当に制限があるのかどうかは検査しないとわからない!

 

自動運動テストの記録方法

自動運動テストの記録方法もさまざまです。

 

よくない記録方法の1つとして「右側屈 50P 」です。これだと、疼痛部位がわかりません。

まずは「右側屈 50P 右頚部」と記録しましょう。自動運動で疼痛は誘発されなくてオーバープレッシャー(OP)を加えて右頚部(R)に疼痛が誘発されたなら「右側屈 50 OP 60P (R)」と記録してもいいと思います。

 

自動運動テストをして記録する、これは間違いではないですが、臨床では自動運動テストと疼痛軽減テストを同時に行い、その結果を同時に記録したいです。

 

例として、 

「R SF 50P (R) ↓R C5 SNAG」

 

「右側屈(Right SIde FLexion)50°で右頸部痛が誘発、右のC5/6にSNAGを実施したら疼痛消失」という意味です。

  

複数のセラピストと働いている職場では、記録方法は周りがわかるようなのを選択またはチームで共有してください。 

 

頚椎の自動運動テストの英語表現を知りたい方は、こちらをご覧ください。

リハビリ英会話:頚椎の自動運動テスト

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頚椎のSNAGについて知りたい方は、こちらをご覧ください。

マリガンコンセプト:頚椎のSNAG・SNAGs

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