患者特有の機能・能力に対するアウトカム指標の1つにPatient specific functional scale があります。
2015年に理学療法士の中丸先生が「Reliability, validity, and responsiveness of the Japanese version of the Patient-Specific Functional Scale in patients with neck pain」を発表されており、そのホームページ上で、Supplementary material 1 (PDF 95 kb) として提供されています。
ニュージーランドでは、事故の補償などする Accident Compensation Corporation (ACC)が、理学療法士に患者の初診時と退院時(discharge)に記録することを義務付けた尺度の1つだそうです(Nicholas 2012)。
PSFS は、臨床でとても使いやすく、活動・参加の評価においてとても有用だと思います。
Patient Specific Functional Scale(PSFS)
- 障害によって生じた困難な活動を3~5つ挙げてもらう
- 各活動の点数(0-10点)を答えてもらう
- 活動の合計点の平均値を計算する
- MCID:minimal clinical important difference
平均2点 1つの活動3点 - × 過去の記録を見せる、受付で書いてもらう
使い方については、以下の動画がとてもわかりやすいです(*英語)
部位別にADLや活動・参加などを評価する自己記入式質問用紙はたくさんありますが(NDI, ODIなど)、PSFSの良いところは部位が複数ある患者に対しても1枚で評価できるということです。例えば、交通事故後の患者で、肩、腰など2部位になった場合それぞれの自己記入式質問用紙を渡すと評価に時間がかかってしまいますが、PSFS だと患者が困っている動作・活動について評価することが可能です。
身体機能・構造面に着目しすぎてしまい「痛み」だけの評価で終わってしまうことがあります。「痛み」だけをゴールにしてしまうと、色々と問題が起こります。
「痛み」があることによって、制限されている活動・参加を評価することが大切です。もちろん、できないことだけでなく、できることについても評価です。
動画でも述べられていますが、フォローアップでは患者に以前のスコアを見せないで評価することが重要です。