マリガンコンセプト (Mulligan Concept )とは、1970年代にニュージーランドの理学療法士 Brian Mulligan が発展させた徒手療法の1つです。
以前は Dr. Toby hall が日本に来て、マリガンコンセプトの講習会を開催してきましたが、2019年から、日本では理学療法士の赤坂先生、中山先生がマリガンティーチャーとしてマリガンコンセプトの講習会を開催しています(日本徒手理学療法学会)。
マリガンコンセプトは、評価と治療が一体化しており、基本原則PILLに当てはまれば、時間も短く効果も高い治療です。
マリガンコンセプトのSNAGは、関節に対する疼痛軽減テストとして考えることもできると思います。
SNAG の略は、Sustained Natural Apophyseal Glide です。
意味はというと(by ライフサイエンス辞書にて)
- Sustained・・・持続、維持
- Natural ・・・自然
- Apophyseal ・・・骨端、骨突起の、apophyseal joint 椎間関節
- Glides ・・・滑り
SNAGとはわかりやすく言うと、関節に滑りの力を加えて自動運動をする治療技術です。
マリガンコンセプトでは、滑りの力を加えながら自動運動を行う治療技術のことをMWM(Mobilization With Movement)と呼びますが、脊椎ではSNAG と呼び名がかわります。
つまり、脊椎のMWMです。
SNAGは、頚椎、胸椎、腰椎において用いられます。
頚椎のSNAGは、下位頚椎(C3-7)に対しては、屈曲、伸展、側屈、回旋に用います。
SNAGは痛みのある場所から始めます。具体的には、正中に痛みがあるのか、片側に痛みがあるのか、です。
痛みの場所、制限方向によって、どこに滑りの力を加えるのか、がポイントになります。
基本的に、疼痛が片側であれば、疼痛部位(片側)に行い、効果がなければ、棘突起(正中)または 反対側の上位の椎弓板に行います。
分節レベル、滑りの方向、滑りの力は適時、調整です。
私は痛みの部位を指してもらい、片側であれば、まずそこにSNAGを行います。効果がなければ滑りの方向・力を調整、そして「痛みの部位はここですか?ここより上ですか?下ですか?」というように確認後、部位が違う場合は分節レベルを変えて再度、SNAGを行っています。
慣れていない時期は効果がでるのに時間がかかってしまいましたが、臨床を重ねていき時間が短縮できてきました。
マリガンコンセプトのコースは、日本では、中山先生、赤坂先生がコースを開催されています(日本徒手理学療法学会)。Upper Quarter、Lower Quarter、Advance Corse & Certified Mulligan の3つがあります。マリガンコンセプトにご興味のある方、正しい方法を学びたい方は、ご受講を検討ください。
参考文献・関連書籍など
- Brian R Mulligan:MANUAL THERAPY NAGS, SNAGS, MWMS etc, 6th, 2010
- Bill Vicenzino et al.:Mobilisation with Movement The art and the science , 2011
- Wayne Hing, Toby Hall, Brian Mulligan:The Mulligan Concept of Manual Therapy 2d, 2019