主観的評価

理学療法士の主観的評価(問診):時間経過

主観的評価(S/E Subjective examination)は、情報収集および治療同盟の構築にとても重要です。 

主観的評価(問診)にて、情報を収集したら、疾患・病態を想起(仮説を形成)し、客観的評価(身体評価)で何をするか内容・順番を決定します。

第3回目は「時間経過」です。

時間経過

セラピスト
痛みは最初に比べ良くなっていますか?変わらない?悪くなっていますか?
最初よりは、痛みは良くなっています。
頚部痛患者

受傷・発症してから現在までの症状の変化については、悪化、変化なし、改善の3つに分けて評価します。

病院・クリニックに訪れる患者には、それぞれの受診理由があります。整形外科クリニックの場合、良くならない、痛みが残っている、という理由から来院する方が多いです(家族に連れてこられたという場合もたまにあります)。

改善する要因には、人間が本来持っている自然治癒力、プラセボ、安静・疼痛回避姿勢・動作による組織への負担軽減、患者によっては市販薬(湿布など)といった対応などが挙げられます。

経過が変わらないという場合は、最初から症状が一定なのか、一度改善を示し症状が一定なのか確認します。

「痛みは変わらない」と言われたら「最初に比べてどうですか?」と追加の質問をするといいでしょう。「最初よりいいけど、痛みはある」「最初より少し痛みは治ったけど、〇〇すると痛い」と答える場合、一度改善を示して変化なし、と評価します。

痛みの悪化や、痛みだけでなく痺れが出てきたというように別症状の出現などの場合、基本的に症状の重症化を考えます。

受傷機転があれば受傷後の時間経過、対応方法、治療歴などの情報も重要になります。

外傷後の受診であれば炎症が示唆されます。急性期に対してはRICE処置が推奨されますが、温熱、飲酒、プレーの継続、マッサージは推奨されない対応です。「足を捻った後はどうされましたか?」と追加の質問をして、対応方法を確認します。

受傷・発症から日数が経過している場合、今までの医療機関・治療した施設による対応が不適切な場合があります。「痛みは変わらないということですが、これまでに何か治療はされましたか?」と治療歴の情報を追加します。

不良姿勢や運動制御などの機能障害因子があるにもかかわらず、マッサージや電気療法などの受動的な治療のみで終わっている場合は良くなりません。

また、神経障害性疼痛にも関わらず、侵害受容性疼痛の薬が前医で処方されていた場合もあります。これは医師の範疇ですが、適切な投薬を行うことで症状が改善を示すことがあります。

日常生活・作業などにおいて持続的・反復的な負荷がかかり続けている場合もあります。作業時の疼痛であれば、作業内容・作業環境の情報が必要となります。

慢性疼痛患者の場合、疼痛回避姿勢・動作、恐怖回避行動などによる不活動・能力障害といった二次的な機能障害を引き起こしていることもあります。

症状が変化なし、悪化の場合、受傷・発症日からの期間を考慮し、今までの治療内容、作業内容・環境などの情報をふまえて、改善しない要因を考えます。

改善しない要因

  • 炎症
  • 重篤な疾患
  • 進行性の疾患
  • 機能障害因子
  • 不適切な対応
  • 持続的・反復的な負荷
  • 二次的な機能障害
  • 痛覚変調性疼痛

改善しない理由を、患者の身体機能・構造だけで推論してしまう場合は注意が必要ですね。

参考文献・書籍

野口2020:初期研修医のための外来研修マニュアル, 中外医学社

森川2018:総合内科 ただいま診断中, 中外医学社

江戸 主観的評価〜たかが問診、されど問診〜, 三木2018 非特異的腰痛のリハビリテーション, 羊土社より

Truth SJ2017:Fundamentals of the Physical Therapy Examination: Patient Interview and Tests & Measures: Patient Interview and Tests & Measures 2nd Edition

野田2012:痛みの問診のポイント_OPQRST, BRAIN and NERVE 64(11)

求人情報:西東京かとう整形外科

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