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腰痛患者を担当したらまず レッドフラッグスを除外しよう

Red flags とは、重篤な疾患の可能性を示す兆候、リスクファクターです。

 

腰痛のRed flags もあれば、頸部痛のRed flags もあります。

 

腰痛と関連する重篤な疾患は全体の1%と言われています。

  

Red flags は、オーストラリアなど理学療法士が開業権を有している国では必須の知識となっています。

 

もちろん日本においてもRed flags はセラピストにとって必須知識です。 

 

日本の病院・クリニックでは医師が先にRed flagsを除外してくれますが、医師の診察をすり抜ける場合や、リハビリテーション実施期間中に、Red flags がでてくることがあります。

 

今回は、Red flags と重篤な疾患について考えたいと思います。

 

レッドフラッグは複数あったら要注意

Red flag が1つあったら、イコール重篤な疾患というわけではなく、flags 、複数形になると注意が必要です。

 

例えば、腰痛における悪性腫瘍のRed flags はというと、

  • 癌の既往歴
  • 50歳以上
  • 保存療法の効果がない
  • 説明のつかない体重減少
  • 多部位の疼痛、安静時痛、夜間痛
  • 時間や活動性に関係のない疼痛(日本)

といったものがあります。

  

セラピストは、初期評価でRed flags の存在を確認して、対応可能な腰痛かどうか判断する必要があります。

 

また、普段と違う症状・初期評価になかった症状が出現した場合、Red flagsを再評価し、必要に応じて医師の診察・受診を促すことが大切です。

 

Red flags ですが、私は毎年2〜3回経験しています。

 

同僚から良くならないので一緒に見てほしいと言われて、確認したらRed flags があり受診を勧めたということもあります。

 

参考

Red flags 以外に、さまざな色のflagsがあります。

  • Yellow flags:心理的要因・心理社会的要因)
  • Orange flags:精神疾患の症状 (例)うつ病、パーソナル障害
  • Blue flags:仕事と健康の関連に関する認識 (例)仕事が重荷だ、仕事をすると怪我をする、上肢・同僚はサポートしてくれない
  • Black flags:システム 例)法律、保険会社との対立、過保護な家族

レッドフラッグスと重篤な疾患の関係

さて、Red flags とは”重篤な疾患の可能性を示す兆候、リスクファクター”ですが、重篤な疾患とは何でしょうか。

 

腰痛に関連する重篤な疾患をあげたらたくさんありますが、腰痛との鑑別が必要な重篤な疾患として、ガイドラインに掲載されている疾患として以下のものがあります。

  • 馬尾症候群 cauda equina syndrome
  • 悪性腫瘍 malignancy
  • 骨折 fracture
  • 大動脈瘤 aortic aneurysm
  • 感染 infection

 

Red flags が複数あったら重篤な疾患を疑う、ということですが、Red flags があったら本当に重篤な疾患なのでしょうか?

 

Cook(2018)は、Red flags の有用性について、

「Red flags は重篤な疾患の除外も特定もしない。陰性尤度比が高いし検査後確率も低い。研究では、違うコホートでレッドフラッグの症状率を比較することが可能な信頼できる方法はないため、全体的な有病率がわかならい。また、とても大きなサンプルサイズが必要なので、研究として難しい。クリニカルガイドラインはRed flags を推奨しているが、より高い検査を必要ない患者にも行うことになる。クリニカルガイドラインは、診断精度が損なわれていることを報告せずに多くのRed flags を説明している。」

と述べています。

 

ちなみに、この文献のタイトルは「Red flag screening for low back pain: nothing to see here, move along: a narrative review(腰痛のレッドフラッグスクリーニング:ここで見るものはない、立ち止まるな:ナラティブレビュー)」です。目を引くタイトルですね。Red flags がうまくいかない理由と将来のLBPマネジメントモデルについて提案しています。

 

引用している文献で、椎体骨折のRed flags(年齢:74歳以上、重大な外傷、副腎皮質ステロイドの使用歴)の検査後確率が 0.37%-3.10% と述べています。

 

Red flags と重篤な疾患の関連性に関する研究は他にもあります。

 

Premkumar(2018)は、腰痛が主訴である 9940名の患者を対象にしたretrospective reviewにて、「9940名のうち重篤な疾患だったのは、椎体骨折(5.6%)、悪性腫瘍(1.6%)、感染(1.2%)、馬尾症候群(0.4%)だった。Red flags に当てはまる場合は重篤な疾患を表す場合もあるが、1つや2つ当てはまらない場合も可能性を低くするわけではない。脊椎の悪性腫瘍だった患者のうち64%はRed flags がなかった。」

と報告しています。

 

Red flags がなくても脊椎の悪性腫瘍があるのか・・・

 

Red flags が複数あっても重篤な疾患でないこともあるし、Red flgas がなくても重篤な疾患のこともあります

 

悪性腫瘍を治療した患者さんたちに話を聞いても、症状がなくても健康診断でわかったという方は何人もいます。

 

Red flags を疑って診察を勧めて重篤の疾患だった場合もあれば、何でもなかったという経験はこれまでに何度もあります。

 

Red flags のことを強調して、変に不安を煽ってもいけませんし、かといって、見過ごすわけにもいかない・・・難しいですね。

 

Red flags の有用性について議論はありますが、Red flags が複数あったのなら診察を勧める、という行動は間違いではないと思います。

 

各国のガイドラインにも書かれていますしね。

 

Red flags を除外する、評価で一番大事なことを忘れずに。。

 

腰痛と関連するレッドフラッグス:重篤な疾患

 

馬尾症候群について知りたい方は、こちらをご覧ください。

腰痛のレッドフラッグス:馬尾症候群

続きを見る

 

悪性腫瘍について知りたい方は、コチラをご覧ください。

腰痛のレッドフラッグス:悪性腫瘍

続きを見る

 

骨折について知りたい方は、コチラをご覧ください。

腰痛のレッドフラッグス:脊椎圧迫骨折

続きを見る

 

参考文献・関連する書籍

Cook CE et al. Red flag screening for low back pain: nothing to see here, move along: a narrative review, 2018

Premkumar A et al. , Red Flags for Low Back Pain Are Not Always Really Red, 2018

求人情報:西東京かとう整形外科

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