「〇〇という診断名に対しては、〇〇の理学療法をします」という考え方には注意が必要です。

 

理学療法士なら、実習や新人教育のときに一度は言われたことがあると思います。

  

診断名に基づいた理学療法の実践には注意が必要な理由とは何でしょうか。

 

理由1:同じ診断名を受けた患者でも臨床症状は多種多様

同じ診断名を受けた患者でも、症状や機能障害は一人ひとり異なります。

診断名は、痛みの原因や機能障害を直接示すものではなく、不良姿勢、運動制御障害、生活習慣や作業環境などの要因は反映されません。

そのため、患者ごとに評価を行い、臨床症状に応じた治療を考える必要があります。 


理由2:画像所見と臨床症状が一致しない

腰痛・頸部痛においては、画像所見と臨床症状が一致しないことがあるのは今や常識になっています。

画像所見を基にした診断名が、臨床症状を表していないことはよくあります。

画像所見だけで判断せず、症状・徴候に基づいた評価が重要です。

 

理由3:病態の改善がなくても症状は改善する

例えば、椎間板ヘルニアがあっても無症状、また、症状が良くなることはあります。

病態の改善と症状の改善が相関するのか議論があります。

 

理由4:診断名は保険請求上の必要条件

運動器リハビリテーションを医療保険で行う場合、レセプト請求には診断名が必要です。

そのため、診断名がつけられにくい病態であっても、請求上の理由から診断名がつくことがあります。

 

理由5:医師の診断が常に正確とは限らない

適切な検査が行われていない診断名は、臨床的に意味がないです。

実際、不十分な問診とレントゲン検査のみ、身体検査を行わないで診断する医師はいます。神経障害が疑われる頸部痛や上肢症状に対しても、神経学的検査を行わないケースがあります。

自施設の医師がそのような医師の場合、信頼できる診断名は骨折、明らかな受傷機転のある外傷、手術後(他院紹介)などに限定されるでしょう。 

ただし、患部を確認しない、身体検査をしない場合、外傷でも見逃すことがあるので注意が必要です。

問診では「受傷機転」と「痛みの場所」だけを確認し、患部の確認をせず、身体検査もなし、Xrayだけ行い、理学療法士にリハビリオーダーした結果、実際は靭帯・半月板損傷があり手術をしたというケースもあるそうです。

患者さんに「診察では何をしましたか?」と聞いて、「レントゲンだけですよ」と言われたら理学療法士が1から評価する必要があります。

ただし、皮肉なことに、何もしない“ポンコツ医師”と働くと、理学療法士の臨床力が向上するかもしれません。

 

身体検査をしない医師には要注意

「〇〇という診断名に対しては、〇〇の理学療法をします」という考え方には注意が必要な5つの理由を整理しました。

特に、適切な問診・身体検査をせずに、画像所見だけで診断が行われている場合、全く意味がありません。整形外科医は骨・関節の専門家ですが、身体検査をしない医師はポン骨専門家ですからね。

特異的疾患で適切な検査が実施されている場合は、診断名に応じた理学療法が必要ですが、

基本的に、

理学療法士自身が問診で情報を収集し、患者の症状や身体機能を丁寧に評価し、臨床推論に基づいた理学療法を行うことが重要です。
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