腰痛の患者を担当したら分類して治療しよう、というのは理学療法の業界では一般的に行われています。

  

「主要な特徴(予後の特性、治療に対する反応、原因メカニズムなど)に基いて、分類(Classification)したサブグループに対象となる治療法を提供すること」を Stratified Care といいます。

  

例えば、○と△のグループがいて、それぞれを○だけのグループと△のグループに分けて、○に対しては治療A、△に対しては治療Bを行います、ということです。

 

適切な治療を、適切な患者に、適切なタイミングで提供することで、治療効果を最大化し害を減らし医療効率を高めることができると考えられています。

  

疾患・部位ごとにさまざまな方法が提案されており、〇〇の分類 Classification という用語で紹介されることが多いです。

     

腰痛を分類して治療することで治療効果を上げる、ということですが、どの分類方法がいいのか、悩みます。

  

主要な腰痛の分類方法5つを比較・検討した論文があります(Karayannis NV et al. 2012)

 

この研究に採用された分類方法はというと、

  • Mechanical Diagnosis and Treatment (MDT)
  • Treatment Based Classification (TBC)
  • Pathoanatomic Based Classification (PBC)
  • Movement System Impairment Classification (MSI)
  • O’Sullivan Classification System (OCS) schemes

 

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Mechanical Diagnosis and Treatment (MDT)、Movement System Impairment Classification (MSI)などは、日本でも学べます。

国際マッケンジー協会日本支部(外部リンク)

NEXUS MOTION OSKA(外部リンク)

Pathoanatomic Based Classification (PBC)は病態・解剖学ベースの考え方で日本では昔からある考え方です。 

Treatment Based Classification についてはフリーの英語文献が多く手に入ります。O'Sullivan については理学療法士の三木さんが書籍で日本に紹介しています(私も分担執筆させていただいています)。 

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Karayannis NV et al. (2012)は、「哲学に違いははあったが、疼痛軽減の運動パターンを特定することは共通していた。たくさんの分類方法がある1つの理由として、1つのメソッドがすべての患者に当てはまらない、また、1つのメソッドに対してさまざまな反応があるからだろう。」

 

と述べています。

 

その通りだな、と思います。

   

さて、腰痛をStratified Care するなら、どの分類方法がいいのでしょうか? 

 

腰痛の分類方法は使い分けるべき?

  

残念ながら、完璧な腰痛の分類方法はありません・・・

 

分類した時に1つのグループに分類できないことがあるからです。

  

「腰痛の分類方法の1つ、Treatment Based Classificationにおいて66%は明らかに分類できたが、34%は明らかに分類できず25%は1つ以上に分類された」という報告もあります(Stanton 2011)。

   

2015年の世界理学療法連盟の学会では、Low back pain がトピックとして挙げられており、その中で腰痛の分類について議論されていました。

   

そこでは、状況に応じた腰痛の分類方法の使い分けを提案している先生がいました。

  

内容を簡略化すると、

(WCPT congress 2015  Low back painhttp://www.wcpt.org/congress/fs/77)

 

急性の非特異的腰痛に対しては、Start Back Screening Tool(SBST/SBT)またはTreatment based classification(TBC)を用いて、慢性腰痛に対しては、O'Sullivan の Cognitive functional Therapy を用います。

  

そして、急性の非特異的腰痛でSBTまたはTBCで改善が見られなければ、Cognitive functional Therapy を用います。

 

この提案はシンプルでわかりやすいですね。

  

私はというと、腰痛の分類を使い分けています。

 

具体的にいうと、3点です。

  • 心理社会的要因が疑われる患者に対しては Start Back Screening Tool(SBST/SBT)を用いる。
  • ガイドラインまたO'sullivan の分類を基に、セラピストの対象の腰痛かどうか判断する。
  • 腰痛に対しては機能障害因子を判断し、患者の思考・習慣などを考慮し、介入方法を判断する。

 

腰痛の分類方法はさまざまですが、自分に合っていること、また、患者に合っていること、患者が良くなること、が大事だと思います。

 

自分の好きなメソッドに引き込んでしまわないように注意が必要ですね。 

参考文献・関連書籍

Karayannis NV et al. (2012):Physiotherapy movement based classification approaches to low back pain: comparison of subgroups through review and developer/ expert survey

Stanton TR et al.(2011):Evaluation of a Treatment-Based Classification Algorithm for Low Back Pain: A Cross-Sectional Study

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