患者の症状と徴候を基にいくつかのグループに分けて、サブグループに応じた治療介入を行うことで、治療効果を高め害を減らし医療効率を高めることをStratified Care といいます。

 

同義語ではないですが、分類 Classification ですね。 

  

「腰痛の分類」は有名ですが、頸部痛にも分類方法がいくつかあります。

American Physical Therapy Association (APTA)のガイドラインで紹介している頸部痛の分類は、Fritz JM & Brennan GP (2007)を基に発展したもので、頸部痛を4つに分類しています。

  • Neck pain with mobility deficits(可動性不足を伴う頸部痛)
  • Neck pain with movement coordination impairments(including WAD)(運動協調性障害を伴う頸部痛(外傷性頸部症候群も含む))
  • Neck pain with headaches (cervicogenic headache)(頸原性頭痛)
  • Neck pain with radiating pain (radicular)(放散痛を伴う頸部痛)

  

また、Verhagen AP (2021)は、頸部痛の診断プロセスとして以下の5つを紹介しています。

  • Trauma related (外傷に関連)
  • Work related (仕事に関連)
  • Neck pain (頸部痛)
  • Cervicogenic Headache(頸原性頭痛)
  • Cervical radiculopathy(頸椎症性神経根症)

    

分類、いろいろありますが、結局は自分がわかりやすいように整理できて、かつ臨床で結果が出せるのであればいいと思います。 

  

 

頸部痛の分類の実際

 

頸部痛を分類する場合、まず、Red flags を除外します。必要に応じて、心理社会的要因を評価します。

 

そして、左から順に除外していきます。

 

問診にて、受傷機転、疼痛部位、上肢症状の有無を確認していきます。

 

「頭痛、めまいはありますか?」「肩から先(下)に何か症状はありますか?」という質問が大切です。

 

外傷による頸部痛で強い頸部痛、高い過敏性の場合は、「外傷に伴う強い頸部痛」に分類します。

 

頸部が原因の頭痛とは、頚椎の動きに伴い頭痛が誘発される、頭部の保持が困難、上位頚椎の可動域制限、頸部深層筋群の活動低下、

 

外傷ではない、頭痛、めまいはない、頸部痛に伴う上肢症状(痛み・痺れ・異常感覚)などがある場合は、「神経障害を伴う頸部痛」に分類します。上肢の痛みがある場合は関連痛なのか放散痛なのか、痺れや異常感覚などがある婆愛はデルマトームまたは末梢神経の皮膚分布などを身体評価にて判断する必要があります。 

 

外傷ではない、頭痛、めまいはない、頸部痛に伴う上肢症状(痛み・痺れ)もない場合は、「可動域制限を伴う頸部痛」「運動制御障害を伴う頸部痛」の2つについて考えていきます。

 

分類した後は、サブグループに応じた治療法を行っていきます。

   

例えば、可動域制限の原因な関節であれば関節モビライゼーション、軟部組織であれば軟部組織モビライゼーション、PRI、マッサージ、ストレッチなど、運動制御の原因が姿勢であれば姿勢修正エクササイズや作業環境の修正および調整、運動制御であればエクササイズを行います。

 

頸部痛の分類の課題

頸部痛に限らず、分類システムには課題があります。

 

課題の一つとして、オーバーラップする、サブグループ化できないことがあります。 

   

例えば、臨床では、可動域制限に運動制御障害を同時に伴っていることがよくあります。

これらをまとめて「可動性障害を伴う頸部痛」と分類してもいいと思いますが、運動制御障害のみの頸部痛も一定数います。他動・自動ともに可動域制限がなく、動作時痛もない、姿勢保持している間に何か作業をしていると頸部痛が誘発される場合などです。 

 

私は、頸部痛の分類を行い、ある程度の治療の方向性を決めて、機能障害因子に対して介入するようにしています。

 

頸椎の可動域制限であれば「関節」「軟部組織」を、運動制御障害であれば「筋活動不全」「頭部コントロール」「眼球・頸部・体幹の協調性」「姿勢安定性」を考慮しています。  

   

頸部痛の分類の課題として、疾患ベースで考える必要があることです。

 

例えば、「神経障害を伴う頸部痛」には、疾患名でいうと「頸椎症性神経根根」「頚椎椎間板ヘルニア」などが当てはまります。上肢症状が両側にある場合「頸椎症性脊髄症」も含まれます可能性があります。頸部痛がない上肢症状の場合は、胸郭出口症候群も鑑別疾患にあがります。

 

特異的疾患の場合、疾患に応じたマネジメント、手術の可能性(将来も含む)なども検討する必要があるでしょう。

 

頸部痛の分類には、心理社会的要因や患者の個人因子は含まれていません。生物心理社会モデルを考慮し、一人一人の患者に応じた介入が求められると思います。

 

頸部痛の分類方法はいろいろありますが、 自分が整理しやすく、治療効果も高められる方法を選択することが大切だと思います。

 

  

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