姿勢を評価し、自動運動テストまたは動作分析を行った後は複合運動テストを行います(自動運動テストにて疼痛が誘発された場合は即座に疼痛軽減テストを行います)。
複合運動テストは、その名の通り、動作を複数組わせて行うテストです。例えば、頸椎の屈曲と右側屈、伸展と右側屈、伸展と右側屈と右回旋、といった感じです。普段の生活で行う動作は単一動作だけでなく複合動作のことが多いため、複合運動も評価することも大切です。また、複数の動きを組み合わせることで、目的とする組織(関節包、靭帯、筋など)に負荷を加えることができます。これは、脊椎に限らず四肢でも言えることだと思います。
複合運動テストは、自動運動テストで疼痛が誘発されない場合に疼痛誘発を目的に行うこともあります。自動運動テストで疼痛が誘発されなければ、疼痛軽減テストも実施できないですからね。
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このフローチャートは頸椎に限らず、腰椎、四肢でも用いることが可能です。客観的評価(身体評価)の内容は、姿勢、自動運動テスト、動作分析、複合運動テスト、疼痛軽減テスト、整形外科テスト、他動生理的運動テスト、他動副運動テスト、軟部組織の評価、運動制御の評価、で構成されています。客観的評価で行う内容は患者・状況によって臨機応変に調整します。全ての検査を行う必要はありません。
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複合運動テスト
複合運動テストは、どの複合運動が最も疼痛誘発されるか判断するために用いられます。障害部位および制限されている副運動の推測にも役立ちます(自動運動テストにて副運動の制限は推測ができます)。メソッドによってはこの複合運動テストを基に治療手技を決定します。
複合運動テストは疼痛誘発動作に更に動作を加えます。つまり、痛みが増悪します。疼痛の過敏性が高い場合は、複合運動テストを実施しない方がいいでしょう。
なお、複合運動テストは動作によっては整形外科テストとしても考えられます(例:Spurling's test)。
疼痛の過敏性に応じて複合動作の内容と順番を調整します。
疼痛の過敏性が低い場合(Low SIN )は、疼痛誘発動作を評価します。例えば、頸椎の右回旋で疼痛が誘発される場合、右回旋+伸展を評価します。疼痛の過敏性が高い場合(High SIN )、疼痛軽減動作を評価します。疼痛誘発動作の反対方向を評価します。例えば、頸椎の右回旋で疼痛が誘発される場合、左回旋+屈曲、屈曲+左回旋を評価します。(疼痛の過敏性に応じて、複合運動テストを何回行うかを定義しているメソッドもあります)
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西オーストラリアの理学療法士 Edwards が考えた box diagram は、複合運動テストを理解するためにとても有用です。例えば、頸椎伸展・右側屈で右頚部痛が誘発される場合、共通点である右椎間関節の下方滑りの制限が疑われます。2つの動作は関節が圧迫される方向になるので、Compression Compression パターンと呼びます。Stretch Stretch パターン、またイレギュラーなパターンもあり、解釈については細かいので講習会で説明します。
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