主観的評価

理学療法士の主観的評価(問診):発症様式

主観的評価(S/E Subjective examination)は、情報収集および治療同盟の構築にとても重要です。 

主観的評価(問診)にて、情報を収集したら、疾患・病態を想起(仮説を形成)し、客観的評価(身体評価)で何をするか内容・順番を決定します。

第2回目は「発症様式」です。

発症様式

発症様式は、いつから症状が始まったのか、どのように症状が始まったか、を評価します。

痛みの問診では、”いつ始まったのか”だけでなく、”どのように”始まったかも非常に重要な情報になります。特に受傷機転のない痛みの発症の場合は、”どのように”の確認が大切です。

いつ

セラピスト
いつから痛くなりましたか?
2週間前から首が痛くなってきました
頚部痛患者

発症・受傷の日時に応じて障害ステージ(急性期・亜急性期・慢性期)を判断します。日時がはっきりしている場合もあれば、数週間前から、数ヶ月前〜、○月くらい〜、とさまざまです。

急性疼痛は、4週以内の痛みと期間で考える場合、急性症状がある場合、また、組織損傷の程度から想定される痛みがある場合、と考えられています。慢性疼痛は3ヶ月以上持続する痛みと期間で考える場合、組織損傷から想定できないほどの痛みを感じる・訴える痛みと考える場合もあります。

受傷機転のある外傷の場合、受傷日時によって組織の修復程度を推測します。また、受傷時の状況・動作を聞くことで環境要因の有無や力学的ストレスを考え損傷組織を考えます。

組織の修復&時期に応じた介入方法が決められていることもあります。急性期の炎症状態がある時は温熱療法は禁忌ですし、術後の場合は時期に応じて許可される動作(=介入方法も決められる)があります。

一方で、受傷機転がなく、痛くなった理由も”わからない” ”徐々に”と言う場合は、原因を考えていく必要があります。持続的・反復的な負荷が加わった結果なのか、不適切なマネジメント、進行性および退行性の変性疾患など。

Clinical Prediction Rule(CPR)の中には、発症日からの日数を基準の1つにしていることもあります。

どのように

セラピスト
どのように痛みが始まりましたか?
首が ”徐々に” 痛くなってきました。
頚部痛患者

痛みの始まり方は疾患の特徴と緊急度を表します。

突然発症は秒から分の単位での発症、急性発症はスピードは速いが日の単位での発症、慢性発症はスピードがゆっくりで日から月の単位での発症と分けられます(野口2020)。

慢性発症の場合は緊急性が低くなりますが、受傷機転のない突然発症は緊急性が高くなります。

突然(Suden)は心血管系、急性(Acute)は感染症、炎症性疾患、徐々に(Gradual )は悪性腫瘍、変性疾患、自己免疫疾患、先天性疾患などが考えられます(森川2018)

野田(2012 )は、安静時の突然発症の痛みは血管障害を示唆するため緊急性が高く、患者者の容態によっては要点のみに絞って問診を進める、と述べています。

「何もしていないのに痛くなってきた」という受傷機転のない疼痛の場合は、「どのように痛みが始まりましたか?」「徐々に痛くなってきましたか?」といった確認が大切です。「徐々に痛くなってきた」という場合は、緊急性が低くなるでしょう。

患者によっては気づいたら痛くなってきた場合も「突然痛くなった」と言うことがあり、突然発症かどうか確認することが必要です。

森川(2018)は、突然発症を確かめる問診のポイントとして、痛みが数秒・数分以内に最強になる、発症した瞬間に何をしていたか言える、バッドで殴られたような痛み、と述べています。

初期症状

セラピスト
右腕のところが痛いということですが、最初の痛みはどこから始まりましたか?
最初は首が痛くて、だんだん右腕が痛くなりました。首は今は痛くないです
頚部痛患者

頚部に関連する上肢痛、腰部に関連する下肢痛など、初期症状・場所の情報が原因組織の推測に役立ちます(*初期症状は”時間経過”にて説明されている場合もがありますが、ここでは発症様式にて説明しています)

例えば、頚部痛から始まったが上肢痛だけ残存、腰痛から始まったが殿部痛だけ残存、といったケースです。

患者が「腕が痛い」「お尻が痛い」と今ある症状だけを訴え、かつセラピストもその情報を基に評価をすると臨床意思決定エラーが起こります。

「最初はどこから痛みが始まりましたか?」「最初はどういった症状がありましたか?」「首が痛いところはありましたか?」などと聞いて、「最初は首が痛かった」と患者が言った場合、初期症状は頚部痛になり頚部の問題を考えた主観的評価・客観的評価になると思います。

また、外傷や炎症症状を疑う場合にも「怪我した後に膝は腫れましたか?熱を持っていかましたか?」と初期症状を確認することで、炎症症状があったのかどうか評価することができます。

受傷機転がある膝の痛みを訴える高齢患者に対して、問診・検査を十分にせずに「身体が硬いから」と言ってしまう医師もいるので要注意です。

参考文献・書籍

帖佐2021:これだけは知っておきたい 整形外科身体診察スキル, MEDICAL VIEW

野口2020:初期研修医のための外来研修マニュアル, 中外医学社

鋪野2020:内科初診外来 ただいま診断中, 中外医学社

江戸 主観的評価〜たかが問診、されど問診〜, 三木2018 非特異的腰痛のリハビリテーション, 羊土社より

Truth SJ2017:Fundamentals of the Physical Therapy Examination: Patient Interview and Tests & Measures: Patient Interview and Tests & Measures 2nd Edition

野田2012:痛みの問診のポイント_OPQRST, BRAIN and NERVE 64(11)

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