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胸郭出口症候群の検査:Wright test

胸郭出口症候群(TOS:Thoracic Outlet Syndrome)の診断に用いられるテストは主に脈管テストと神経刺激テストに分けられ、脈管テストにはWright テスト、Adson テスト、Eden テストなどがあります。

 

Wright test ですが、原法(オリジナルの方法)と、現在行われている方法(日本で)があり、混乱が生じやすいテストです。

 

ちなみに、Wright test は Hyper abduction test / Hyper abduction maneuver と呼ばれたりします。(わかりづらいですね。)

 

複数の書籍、文献を参考にWright test についてまとめました。

 

Wright test (原法)

  1. 座位にて、検者は患者の橈骨動脈に触れる。
  2. 検者は脈に触れたまま、患者の片側の上肢をゆっくり外転させる。肩関節外転90°、肘関節屈曲90°とする。
  3. 拍動が消失するようであれば、背臥位にて肩関節を過外転(hyperabduction)させる。

陽性所見:拍動の減弱・消失、症状の誘発

過外転することで小胸筋下と肋鎖間隙の2カ所で鎖骨下動静脈や腕神経叢が絞扼を受けると考えられているそうです。

 

過外転は、原法では背臥位ですが、座位の方法も紹介されている書籍があります。臨床では、座位がやりやすいですね。 

 

逆を言うと、背臥位の肩屈曲最終域で痺れがでたら、TOSを疑い追加の検査をします。

 

Wright test(現在行われている方法)

原法では片側の上肢ですが、現在行われている方法(日本で)は、両側の上肢を外転させます。

 

これは、1995年にRayan らが提唱した方法だそうです(帖佐2021:これだけは知っておきたい 整形外科身体診察スキル)。

  1. 座位にて、検者は患者の橈骨動脈に触れる。
  2. 検者は脈に触れたまま、患者の両側上肢をゆっくり外転させる。肩関節外転90°、肘関節屈曲90°とし、この状態を1分間保持する。

陽性所見:拍動の減弱・消失、症状の誘発

 

北村(2016)は症状の再現が重要と述べています。具体的に「上肢挙上時に痛みやしびれが再現され手指が蒼白となり、手を下ろすと血行が回復して赤みが戻り痛みやしびれが回復する」とのことです。

 

Allen test(modified wright test)

Allen test は modified wright テストとも呼ばれるそうです。

 

Wright test が小胸筋下での圧迫を示唆するのに対して、Allen テストでは頸部の回旋が入るため、斜角筋部位での圧迫をみる検査となります。

  1. 座位にて、検者は患者の橈骨動脈に触れる。
  2. 検者は、片側の肩関節を外転・外旋、肘関節を90°屈曲させる。
  3. 頸部の反対側回旋を行う。

陽性所見:拍動の減弱・消失、症状の誘発

頸部回旋時に症状の再現があれば、前・中斜角筋により鎖骨下動脈の圧迫が疑われます。

 

 

You tube 動画で確認

 

この動画は、原法を紹介しています。ステップ1では、肩外転・外旋位で肘関節屈曲45°とし、ステップ2でHyperabduction を実施しています。Watoson(2009)も同様の方法を紹介しています。

 

Wright test のまとめ

Wright testですが、原法では片側の上肢に対して検査を実施し、現在よく用いられている方法では両側の上肢に対して検査を実施します。

 

 

Wright test は健常者でも陽性になることが多いのが問題点としてあげられています(偽陽性が多い)。

 

 

つまり、陽性であっても確定ということにならず、他の検査(誘発テストや画像検査など)と組み合わせて評価する必要があります。

 

参考文献・書籍

北村・井出2016 : 胸郭出口症候群の鑑別, 関節外科, Vol35. No8.

Watson, L., Pizzari, T & Balster, S 2009, ‘Thoracic outlet syndrome part 1: Clinical manifestations, differentiation and treatment pathways’, Manual Therapy, vol. 14, no. 6, pp. 586–595.

注意ポイント

参考書籍については、何版まで出版されているのか必ずご確認ください。日本語版がでている書籍もありますが、版のずれが大きい場合は、英語版の最新書籍を購入することをおすすめします。

私が持っているのは第6版ですが、2020年に第7版が出版されています。

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