マリガンコンセプト (Mulligan Concept )とは、1970年代にニュージーランドの理学療法士 Brian Mulligan が発展させた徒手療法の1つです。

Mulligan と書いて、マリガンと読みます。

マリガンコンセプトのコースは、現在、日本を含む30ヵ国以上の国で開催されていてます。

過去にはオーストラリアの理学療法士 Dr. Toby hall が日本に来てマリガンコンセプトのコースを開催してきましたが、2019年から、日本では理学療法士の赤坂先生、中山先生がマリガンティーチャーとしてマリガンコンセプトの講習会を開催しています(日本徒手理学療法学会)。

 

マリガンコンセプトには基本となる原則が2つあります。1つはPILL、もう1つはCROCKSです。

 

Mulligan は、Mobilisation with movement(MWM)の成功には患者中心の治療、患者の協力が必要であるということを、CROCKS を用いて表現しました。

CROCKS は、以下の単語の頭文字をとったものです。

C Contraindications

R Repetitions

O Over pressure

C Communication and cooperation

K Knowledge

S Sustain, skill, sensibility and subtle

CROCKS

C:Contraindications 禁忌

徒手療法の禁忌です。

明らかな禁忌として、脊椎の悪性疾患、馬尾障害・膀胱直腸障害、脊髄障害、関節リウマチによる脊椎の靭帯の壊死、炎症、感染による関節炎などがあります。

注意が必要な場合として、神経学的テストの陽性所見、骨粗鬆症、過可動性の関節、滑り症などがあります。

徒手療法の禁忌に当てはまるものは、マリガンコンセプトも禁忌です。

R:Repetitions 繰り返す

マリガンコンセプトでは、繰り返すことが重要とされています。

繰り返すとは、回数とセット数です。

推奨される回数とセット数はテクニックによって異なります。

基本的に、脊椎は四肢よりも少ない回数とセット数、また、初回・最近の受傷・強い疼痛の場合なども少ない回数・セット数となります。

多い回数とセット数は、慢性のケースやテクニックにより改善を示す場合に用いられます。

Repetitionsの目安

脊椎の場合

初回 3回  1セット 2回目以降 6−10回 3-5セット

四肢の関節

初回 6回  3セット 2回目以降 6−10回 3-5セット

O:Overpressure オーバープレッシャー

即時効果、持続効果をだすためには、最終可動域からのオーバープレッシャーが必要です。

疼痛なしでオーバープレッシャーが加えられた場合、改善が認められるでしょう。

オーバープレッシャーはセラピストまたは患者自身によって行われます。

C:Communication コミュニケーション

安全かつ効果的にMWMを実施するためには、患者とのコミュニケーションが必要です。

「痛みや何か症状がでたらすぐ教えてください」と伝えて、MWMを実施します。

また、患者はMWMの方法、効果を理解し、治療に参加、ホームエクササイズを実践する必要があります。

何らかの理由で、患者が動作を正しく実施できない場合は、方法を工夫するかMWMを実施しないという判断をします。

K:Knowledge 知識

病態に関する知識、治療する関節面、バイオメカニクス、解剖学などの知識です。

また、関節モビライゼーションに関する基礎知識も必要だと思います。

S:Sustain 持続

MWMを行っている間は、力を加え続ける必要があります。

スタートポージションから開始して、スタートポジションに戻るまで、です。

S:Skill 技術

マニュアルハンドリング Manual handling です。

セラピスト自身の手を用いて、誘導、操作する技術が必要です。

S:Sensitivity 感受性

セラピストはどの方向に滑りを加えているのか、関節はどの方向に動いているのか、どう変化しているのか、自分自身の手を通して感じとる必要があります。

S:Subtle

MWMを行なっている間にわずかな痛みがでる場合、滑りの方向、加えている力の強さを微妙に変化させる必要があります。

わずかに変化させることで、痛みが消失することはよくあります。

また、最後のS として、”common Sense” というのも述べられています。セラピストは、適応、禁忌、コミュニケーション、協力、知識、証拠、スキルを合理化し、治療している個々の患者に応じて、推論的アプローチ(commone sense)をすることが必要です。

CROCKS、Sはいろいろ詰め込んでます。common sense にいたっては C じゃないか、と思ってしまいますが、CROCKSC になったら発音しづらいんでしょう。

さて、CROCKS に書いてあることは、他の徒手療法とも共通することが多いと思います。

  

マリガンコンセプトのコースは、日本では、中山先生、赤坂先生がコースを開催されています(日本徒手理学療法学会)。Upper Quarter、Lower Quarter、Advance Corse & Certified Mulligan の3つがあります。マリガンコンセプトにご興味のある方、正しい方法を学びたい方は、ご受講を検討ください。

参考文献・関連する書籍

  • Brian R Mulligan:MANUAL THERAPY NAGS, SNAGS, MWMS etc, 6th, 2010
  • Bill Vicenzino et al.:Mobilisation with Movement The art and the science , 2011

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です