マリガンコンセプト (Mulligan Concept )とは、1970年代にニュージーランドの理学療法士 Brian Mulligan が発展させた徒手療法の1つです。

 

Mulligan と書いて、マリガンと読みます。

 

マリガンコンセプトのコースは、現在、日本を含む30ヵ国以上の国で開催されていてます。

 

以前は Dr. Toby hall が日本に来て、マリガンコンセプトの講習会を開催してきましたが、2019年から、日本では理学療法士の赤坂先生、中山先生がマリガンティーチャーとしてマリガンコンセプトの講習会を開催しています。

[st-cmemo fontawesome="fa-external-link" iconcolor="#BDBDBD" bgcolor="#fafafa" color="#757575" bordercolor="" borderwidth="" iconsize=""]Mulligan Teachers (外部リンク)[/st-cmemo]

[st-cmemo myclass="st-text-guide st-text-guide-memo" fontawesome="fa-pencil" iconcolor="#919191" bgcolor="#fafafa" color="#000000" bordercolor="" borderwidth="" iconsize=""]Dr. Toby Hall は、Mulligan Concept の効果を証明したエビデンスを数多く執筆しています。また、神経モビライゼーションの第一人者の1人で、Manual Concept を通じて世界中で徒手療法を教えています。私もManual Concept のコースに参加して多くのことを学びました。[/st-cmemo]

マリガンコンセプトの歴史

マリガンコンセプトの歴史を振り返ってみましょう。

 

Brian Mulligan は1954年に理学療法士のキャリアをスタートさせました。

 

1950年代後半、マリガンは、Cyriax's approach のコースに参加し脊椎を学び、ヨーロッパで Kaltenborn を学んだ Paris や McKenzie から徒手療法を習いました。

 

そして、1970年代に、Kaltenborn の四肢のコースに参加し、四肢の関節モビライゼーションを学びました。

 

1984年、Mulligan は最大の発見をしました。

 

その発見は患者の治療中でした。スポーツで指を損傷し浮腫、疼痛、可動域制限が残存していた患者に、当初は、超音波療法、牽引、内側滑り・外側滑りのモビライゼーションを実施していましたが、効果がありませんでした。

 

そこで、Mulligan は、内側滑りを行いながら患者に指の屈曲・伸展の自動運動を指示しました。すると、疼痛が消え可動域も改善しました。これが、Moblisation with Movement(MWM)の始まりです。

 

1986年に、マリガンコンセプトのコースが初めて開催され、1989年に著書”Manual Therapy NAGS, SNAGS, MWMS etc” が刊行されました。

現在、英語版は第7版(日本語版は第5版)まで出版されています。

マリガンコンセプトの基本原則 PILL

マリガンコンセプトには2つの基本原則があります。

 

1つが、PILL、もう1つがCROCKSです。

 

マリガンコンセプの基本原則 CROCKSって何?という方は、こちらをご覧ください。

[st-card myclass="" id="1144" label="" pc_height="" name="" bgcolor="" color="" fontawesome="" readmore="on" thumbnail="on" type=""]

 

PILLとは、Pain free(疼痛なし)、Instant result(即時効果)、Long Lasting(持続する)の頭文字をとった略語です。

 

PILLに当てはまればマリガンコンセプトをする、当てはまらなければしない、とてもシンプルです。

Pain free(疼痛なし)

マリガンコンセプトのテクニックを用いている最中、疼痛はでてはいけません。

 

疼痛が出現した場合、マリガンコンセプトの適用ではありません。

[st-mybox title="参考" fontawesome="fa-file-text-o" color="#757575" bordercolor="" bgcolor="#fafafa" borderwidth="0" borderradius="5" titleweight="bold" fontsize="" myclass="st-mybox-class" margin="25px 0 25px 0"]Mulligan teacherの1人の Mark Oliver(理学療法士)はコース内で、ROMも疼痛も変わらない場合は適用ではない、ROMは変化するが少しの疼痛がある場合は適用の場合もある、ROMが改善し疼痛もない場合は適用である、と述べていました。[/st-mybox]

 

個々の患者・クライアントに合わせた対応が必要ですね。

 

Instant result(即時効果)

マリガンコンセプトを行ったとき、即時効果がでる必要があります。

では、どのくらいを即時効果というのでしょうか?

 

書籍「Mobilisation with Movement The art and the science 」にいくつかの記載があります。

 

例えば、60°で疼痛が出現し160°以上は動かせない時、マリガンコンセプトのテクニック(以下、マリガン)を行った結果、120°で疼痛が出現した場合、Instant result と考えられる。

 

ROMが健側と比べ10%低下していて、マリガンを行った結果、左右差がなくなった場合、Instant result と考えられる。

 

また、ROMだけでなく、マリガンを行った結果、筋力が改善した場合も、Instant result と考えられる。

 

実は、日本で参加したマリガンコンセプトのコースでも、参加者から同様の質問がありました。

 

「膝関節屈曲120°がマリガンを行って125°になった場合は Instant result と考えられるのか?」という細かい 細部にこだわった質問もありました。

 

Instant result というのは、ROM だけでなく、疼痛、筋力、バランス、また、動作などを含めて考えなくてはいけません。

 

個人的には、マリガンは 運動時痛に対してとても効果的な徒手療法だと思います。運動時痛による可動域制限、運動時痛による筋力低下、運動時痛による不良動作、などですね。

 

Long lasting(持続効果)

マリガンテクニックを行って得た効果が持続する必要があります。

 

当たり前ですが、良くなったことが持続しなければ意味がありません。

 

その場で良くなっても次に戻っていたら、戻ってしまう原因を考える必要があります。

 

マリガンコンセプトの場合、治療効果を持続するためにホームエクササイズを重要視しています。

 

また、効果を持続させるためにテーピングも用います。

 

PILL 反応がない場合

PILL 反応がなかったら、マリガンの適用ではありません。

 

しかし、疼痛誘発=適用しない、ではありません。

 

マリガンコンセプトに慣れていないセラピストはまず自分のやり方を疑う必要があります。

 

加えている力、加えている力の方向、加えている力の位置などです。

 

これらを調整しても疼痛が出現している場合、PILL反応がない、と考えていいのではないでしょうか。

 

参考文献・関連書籍など

  • Brian R Mulligan:MANUAL THERAPY NAGS, SNAGS, MWMS etc, 6th, 2010
  • Bill Vicenzino et al.:Mobilisation with Movement The art and the science , 2011

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